フィナステリドとデュタステリドは血糖値が上がる!血液検査で知り、運動と食事で下げる!
プロペシア プロペシアの副作用 フィナステリド錠1mg フィンペシア デュタステリド

目次
フィナステリドやデュタステリドを長期間服用すると血糖値が上がる?!という話題がありましたので解説していきたいと思います。
ページの総論はこちらです。
- 5αリダクターゼ阻害薬を服用している方は2型糖尿病のリスクが30%増える研究結果!
- 血糖値とは血液のブドウ糖量!高血糖が続くと血管が傷つき血栓が出来て糖尿病予備軍へ!
- 糖尿病は頭皮の毛細血管も傷つけるので、毛乳頭から毛母細胞へ脱毛指令が起きる事もある!
- 普段の生活から高血糖は改善出来る!食後の軽い運動と、食前に海藻類やネバネバ食材を摂取!
フィナステリドは2型糖尿病のリスクが30%増大!?
まず今回、研究結果として取り上げたのが「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)」というイギリスの医学誌です。
2019年4月10日公開
研究(日本語訳)
ステロイド5α-レダクターゼ阻害薬を投与されている男性における2型真性糖尿病の発生率:集団ベースのコホート研究
結論(日本語訳)
新たに発症する2型糖尿病を発症するリスクは、タムスロシンを投与されている男性よりも5α-レダクターゼ阻害剤に暴露されている良性前立腺肥大症の男性の方が高いようです。特に2型糖尿病の他の危険因子を持つ人では、これらの薬を服用している人に追加のモニタリングが必要になるかもしれません。
この研究は55,000人を対象とした11年間の長期結果をもとに、5αリダクターゼ阻害薬を服用している患者はⅡ型糖尿病になるリスクが30%増加するという事が分かったとされています。
その為に、すでに血糖値が高い人(高血糖)や糖尿病予備軍が、前立腺肥大治療薬のフィナステリドやデュタステリドを服用する場合は医師がリスクの話をするべきであり、血糖値が正常な方でも健康診断を慎重に行い、定期的な血糖値の確認をするべきであると述べています。
ただ2年前にも米ボストン大学医学部泌尿器科教授がデュタステリドやフィナステリドを長期服用すると血糖値や悪玉コレステロール(LDL)の値が上昇するとした研究結果を発表しています。
タムスロシンも同じ前立腺肥大治療薬なのですが、デュタステリドと比べると血糖値やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)、LDLは変わらなかったとされています。
フィナステリドやデュタステリドは前立腺肥大治療薬としても使用されていますが、日本では薄毛のAGA治療薬としてもっともポピュラーに利用されています。
成分がフィナステリドで医薬品名はプロペシアですね。
デュタステリドはザガーロとして日本でも処方されています。
フィナステリドがⅡ型5αリダクターゼを抑制するのに対して、デュタステリドはⅡ型とⅠ型も抑えるとして近年では人気となっています。
フィナステリドは、男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼ(還元酵素)と結合して、薄毛を進行させる悪玉男性ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)になるのを防ぐ働きがあります。
5αリダクターゼを阻害してDHTの変換を抑制する作用以外にも、肝臓や脂肪にも作用する事が分かっていてステロイドホルモンが体に溜まる事でインスリンの分泌を抑えてしまう事が指摘されています。(インスリンは後述します。)
その他にも、2013年の症例報告にフィナステリドを長期服用してエストロゲンの増加から血液凝固状態が促進され血栓症を起こして若年性脳卒中を発症した例もある。
今から6年前の出来事である。
男性型脱毛症用薬フィナステリド服用中に若年性脳卒中を発症した2症例【PDF版】はこちらをクリックすれば閲覧できます。
6年前と2年前、そして今回の研究結果や症例は、高血糖から糖尿病、血栓症へと繋がっていく恐れのある内容なので因果関係は不明だが5αリダクターゼ阻害剤を飲まれる方に是非読んで頂きたい。
血糖値とは!?インスリンも理解しよう!
最近テレビなどでも良く見かける血糖値とはどんなものなのでしょうか。
血糖値とは、体内の血液中にあるブドウ糖(血糖)の値を数値かしたものです。
つまり血の中の糖分ですね、グルコースとも呼ばれています。
人間は食事をして、体内に栄養分を取り入れます。
栄養分は、炭水化物(糖質)やミネラル、たんぱく質など様々な栄養素がありますが、この中で炭水化物の糖質が体に必要な細胞のエネルギーとしてグリコーゲンという多糖類になり肝臓や筋肉に貯蔵されます。
その後、ブドウ糖になり血液を通じて全身の血管へ運ばれ細胞に吸収されます。
この血管にいる間のブドウ糖を細胞に吸収させたり、脂肪に保持させたりしておく働きが「インスリン」です。
食事を摂った直後は、急激に血糖値が上昇します。
血液内のブドウ糖が増加する為ですね。
この時にインスリンが膵臓(すいぞう)から分泌される事で、血糖値を下げるような働きをするのですが、インスリンの分泌量が少なかったり正常に働かなかったりすると血糖値が高い状態が続き高血糖から動脈硬化、糖尿病へと繋がっていくリスクがあるのです。
これは血糖値が高いと、血液がドロドロになり血管の内膜、血管内皮を傷つけて障害を起こすからなのです。
血糖値を血液検査で測定しよう!LDLにも注意!
血糖値を数字で見てみましょう。
血糖値は高すぎても低すぎても良くありませんが、今回は「フィナステリドによる血糖値の上昇!」がテーマですので高血糖を中心に解説していきます。
こちらの画像は2016年9月なので少し前になりますが、私の血液検査のデータです。
一番下のあたりに血糖の数値が記載されていますね。
血糖の基準範囲内は70~109mg/dlとされています。
2015年9月は食後1時間でしたので、106と高い数値が記載されていますが、2016年の9月は食後12時間後で87と安定しています。
この数値が110~125mg/dlの範囲内になると糖尿病予備軍又は糖尿病境界型を超えた方となります。
食後はどうしても血糖値が上がりやすいので多少は高目な数値を示しますが、空腹時血糖の値が110を超えてくると将来糖尿病の危険性が出てきます。
糖尿病はすぐに発症するものではありません、徐々に進行していく症状です。これらを改善していく方法を、後述致します。
先程お伝えした、ボストン大学の研究では悪玉コレステロール(LDL)の値も上昇したとあります。
このLDLが血液中に過剰にあると酸化して血管壁にへばり付いていきます。
これが血管を狭くしていき、動脈硬化を進行させていくので糖尿病や高LDLコレステロール血症などを発症する危険性を伴います。
LDL-コレステロールの基準値は70-139mg/dlとなっています。
私の結果は2015年が91で2016年が99なので正常です。
フィナステリドを3年程、その後デュタステリドを1年間服用していますが私は日頃の運動や食生活には気を配っているのでなんとか正常でした。
高血糖、血糖値が上昇すると!?
高血糖つまり血糖値が上昇した状態が長く続くと、血管内皮が損傷していき血管が硬化していきます。
血管は本来、弾力や拡張性のある柔らかい管ですが、汚い血液が流れる事により傷ついた血管は徐々に弾力を失い硬くなり、脂質沈着物を血管壁に溜め込んで血液の進路を狭くしていきます。
硬く狭くなった血管は動脈硬化と言われ、様々な疾患を引き起こします。
糖尿病をはじめ、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、下肢閉塞性動脈硬化症(かしへいそくせい)などですね。
狭心症は血管が狭くなり血液が不足して起きる症状です。
心筋梗塞、脳梗塞は血管に流れる血液が血栓により塞がれて起きる処置に緊急を要する疾患です。
糖尿病は、三大合併症と呼ばれる糖尿病網膜症(もうまく)、糖尿病腎症、糖尿病性神経障害に進行していく可能性があります。
糖尿病網膜症は、目の周りの毛細血管の病気で、網膜の血管に障害が起こり視力低下や失明する可能性がある症状です。
糖尿病腎症は、腎臓の障害です。血液をろ過している腎臓の糸球体の毛細血管がダメージを受けて起きる症状で進行すると人工透析が必要になるケースもあります。
糖尿病性神経障害は、神経細胞に血液が届かなくなり自律神経の障害や、火傷や外傷に気づかずに壊死(えそ)する事で損傷部分を切断するケースもあります。
糖尿病から薄毛や脱毛症にも!?
徐々に進行する糖尿病を患ってくと、脱毛も引き起こします。
毛が生えている頭皮の内部は毛細血管が張り巡らされており、常に血液が栄養素を毛細血管から毛乳頭へ運んでいます。
しかし高血糖や糖尿病を発症した方は、毛細血管から毛乳頭まで綺麗な血液が運び込まれない為、毛乳頭が間違った信号を毛母細胞に伝え脱毛を促している可能性も考えられています。
すでに糖尿病から脱毛症の合併症を引き起こした症状が数例あります。
特にAGA(男性型脱毛症)を発症しやすい疾患として、メタボリックシンドロームや動脈硬化、亜鉛の欠乏症に高血圧、糖尿病などが挙げられています。
血糖値が上がり続ける事も頭皮には非常に良くない状態ですが、メタボから脂質異常症や高血圧などの病気にも注意しましょう。
血糖値を下げるには運動や食生活の見直しを!
血糖値の上昇を抑えるには、日頃の生活習慣が大事です。
不規則な食生活や運動不足には特に注意して下さいね。
睡眠不足や過剰なストレス、アルコールの取り過ぎや、煙草の吸い過ぎなどにも気を配りましょう。
普段の生活から血糖値を抑える事は可能です。
むしろ普段の生活を怠っていると、血糖値が徐々に上昇していくと考えた方が良いでしょう。
ローマは1日にしてならず、正常な血糖も1日にしてならずです。
運動で血糖値を改善!
運動は魔法の薬と言われるくらいに非常に重要な要素のひとつです。
良く1日1万歩と言われていた時代がありましたが、結構ハードなノルマですよね。
なかなか達成出来ずに諦めてしまった方も多いのでは。
しかし今の時代は、医療も進歩して効率良く運動する事の重要性を説いています。
高血糖に効果的な運動方法は、食後の30分~1時間後に10分ウォーキングする事だとオタゴ大学人間・栄養学部のアンドリュー レイノルズ氏は語っています。
血糖値が高い状態の時に血管が傷つきやすくなっているので、食後の急激な血糖値が上昇した時を狙って運動する事で、血糖値の上昇を穏やかにする事が出来ます。
週5回30分の運動をすると、糖尿病のリスクが22%低下する事が明らかになっています。
特に夕食後の運動が血糖値には効果的です。
動脈硬化の原因LDLやメタボ原因の中性脂肪なども消費してくれるので無理のない範囲でのダイエット運動も効果的と言えるでしょう。
日々の適度な運動は良い事しかありません、怪我だけにはくれぐれも注意して下さいね。
食生活から血糖値を穏やかに!
炭水化物などの多い食事をすると血糖値が上昇します。
糖分をたくさん体内に摂り入れてるので当然ですね、特に空腹時には急上昇します。
食事は必ずするものです。
しかしいろいろな方法で糖の吸収を穏やかにする事が大切です。
めかぶファーストと言われるのは、めかぶを先に食べるだけです。
めかぶを先に食べる事で海藻類に含まれる水溶性食物繊維が水に溶けてゲル状になるため、腸壁に膜を張り糖の吸収を抑えます。
他にもとろみ成分が糖を取り囲んで糞便へ排出する為、血糖値の上昇を穏やかにしてくれます。
お酢などに入っている酢酸も血圧を低下させてくれるので血糖値に良いとされています。
酢酸からアデノシンの分泌は血管拡張作用があるので、海藻類のもずく酢なども血糖には効果的です。
他にも、ネバネバ食材の納豆も血糖に良いと言われています。
大豆の食物繊維、ペクチンがネバネバする事により水溶性食物繊維が増加し、食後の血糖値上昇を抑制してくれます。
おくらもネバネバ系で、納豆同様ペクチンがあり、マグネシウムや亜鉛のミネラルも含んでいるので血糖値を抑えてくれます。
糖質も大切な体のエネルギー源なので、摂取しないでとは言いませんが急激な摂取や大量摂取には充分注意して下さい。
食べる前にひと工夫、海藻類やネバネバ食材を取り入れる事で血糖値の上昇を穏やかにしてくれます。
近年ではダイエット法に摂り過ぎな糖質類を控えて、サラダや魚、肉を中心として食生活の健康法が取り上げられています。(糖質制限ダイエット)
これには、血糖値も抑えられるので理に敵った食事法です。
是非、皆さまも取り入れては如何でしょうか。
最後に、フィナステリドと血糖値上昇について
初めにフィナステリドやデュタステリドの服用で血糖値の上昇と、糖尿病へのリスクが30%増大する可能性が指摘されました。
しかしAGAの患者の方は、私もですが抜け毛や薄毛に大変苦労していると思いますので急に服用を止める事はできないと思います。
プロペシアやジェネリックのフィナステリド錠、フィンペシアにデュタステリド系など5αリダクターゼ阻害薬を服用されている方、又はこれから服用される方などは血液検査を定期的におこない血糖値を良く確認するようにして下さい。
そして医師の方は処方前に患者の血糖の状態を確認するようにして、処方の際に必ず高血糖のリスクがある事を充分に患者に伝えて欲しいと思います。
個人輸入で通販される方も事前に高血糖のリスクを認識して、定期的な血液検査を忘れないようにして下さい。
血糖を抑える事で、良質な頭皮へも繋がります。
髪と同じように血管も大事にするようにして下さいね。
ご閲覧頂きありがとうございました。
2019年5月23日 高橋 優一